研究推進部

江川地区民具

江川地区は、福岡市から南東におよそ30Kmのところ標高350mに位置し、また朝倉市(旧甘木市)から小石原川にそって遡ること10数km余りの渓谷の合間にある。
農具が多くを占めるが、蚕棚、提灯、煙草盆などの生活用品がある。

 場所  朝倉市江川
 受入  昭和44年10月8日


蓑(みの) 菅笠(すげがさ)
外套の一種。イネワラ、スゲ、ビロウの葉やシナ、フジ、シュロの皮などを編んで作った服物で、主に雨雪を防ぎ陽光をさえぎるために着用。海水や粘土を防ぐためにも用いる。また、物資の運搬には、クッションとして利用。現行の蓑には、背蓑(背部を覆った小型蓑)、片蓑(両肩から背部を覆う)、胴蓑、丸蓑、蓑帽子、腰蓑の六種がある。 笠の一種。スゲを縫い綴って作った笠。その形態には、円盤形、円錐形、円錐台形、帽子形、半円球形、褄折形、桔梗形のおよそ七種の型がある。笠縫いの語は古く、平安時代の市女笠、桔梗笠、江戸時代の殿中、三度笠などは、スゲの縫い笠である。用途は、主に雨笠として着用。全国的に分布しているが、主に現在は東日本で使用されている。
雁爪(がんづめ) 屑根打杵(かんねうちぎね)
宝永四年(1707)、久留米藩領の筑後国御井郡国分村(現久留米市)の笠(りゅう)九郎兵衛は、かにの爪からヒントを得て作った。この雁爪は農村だけでなく炭坑でも使われた。この地域独特の農具。 屑根をに打ち砕く(屑を粉にするもの)道具。ハンマーの一種。かんね(屑)は、山々の肥沃な土地によくできた。かんね収穫時期は、11、12月ごろから翌年の3、4月まで。
鞍(くら) 千把扱き(せんばこき)
畜力運搬具。主に牛馬の鞍は、車や犂(すき)とかを引くための装具として用いることが多い。鞍は、鞍骨と鞍薦(くらごも)からできている。鞍は、腹帯、胸帯、尻帯でウシの体に着けられる(馬とウシには用具に差がある、運送用の馬には鈴をつけた)。 江戸時代の元禄期に広く農村に普及した脱穀農具。千歯扱きとも書く。それまでの作業は、扱き箸(こきはし)であったが、鉄製の千把になってから作業能率は3倍となった。
木綿車(もめんぐるま) 御重箱(ごじゅうばこ)
糸車、紡車(いとぐるま)ともいう。十分に打ち上げられた綿を細かい竹管に巻きつけて綿筒(しのまき)とする。これを紡車にかけて糸にするのに用いた。 食物を種別して盛るための重ね容器。
除草機(じょそうき) 背負い梯子(からいこ、あるいはショイコともいう)
田植えを終え、イネの苗と苗の間の草を取り除く手押し草刈車。田植え時期から水田に水がなくなる8月ごろまで用いる道具。現在所蔵しているものは昭和30年代のもの。 山でとれた農産物などを、背中に背負うのでこの名となった。梯子のようにしたものに紐をつけて、リックのように背負う運搬道具。坂道の多い山間地帯には欠くことのできない道具。別名、ショイコと呼ばれた。
殺虫燈(さっちゅうとう) 鬢盥(びんたらい)
稲穂が出るころ、大量の害虫(蝗)が発生し稲の収穫ができなくなるので、その虫を殺すのに使った照明道具。その道具は上部が灯りの部分と下部が水と消毒剤を入れる部分があり、その灯りに集まった虫を殺すのに使用した。 水や湯を入れて顔や手足を洗う器の総称。
湯たんぽ(湯湯婆) 魚籠(さかなかご)
中に湯を入れ、寝床などに入れて、身を温めるのに用いる道具。金属製、陶製のものがあるが、木製のものもある。 捕まえた川魚をいれる箱。
魚籠(さかなかご) ぶりこ(唐棹:からさお)
捕まえた川魚をいれる箱。 本名を「からさお」という。振り子からきた語であろう。使い方は、木や竹の棹先に取り付けた棒や竹を回転させて、麦、大唐稲、菜種などを脱穀した。簡単にいえば、穀物をたたき、殻をとり除く道具。
提灯(ちょうちん) 煙草盆(たばこぼん)
照明具の一つ。紙はりの火袋の中に蝋燭を立てる。古くは籠提灯であったが、16世紀末に伸縮自在な構造の箱提灯が現われた。形状、用途によって盆提灯、弓張提灯などの種類が多いようである。 喫煙用の火入れ、灰吹きなどを載せる小さい箱。
篠巻箱(しのまきはこ) 分銅(ぶんどう)
糸車の糸を巻く棒をおさめた箱。 秤(はかり)などで物の目方をはかる標準とするおもり。
棹秤(さおはかり)
秤(はかり)の一種。竿の一端に皿、または鈎(かぎ)があって、その近くに把手があり、これを支点とし、量るべき物を皿にのせ、または鈎に吊り、竿の他端に分銅をかけ、竿が水平になるまで、分銅を左右に移動させ、竿の目盛によって、その物の重さをはかるもの。

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