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Team3   社会活動支援・活力ある高齢者の研究チーム

No.2  ガス会社と協働で地域の一人暮らし高齢者を支える

リーダー:馬場みちえ(医学部准教授)

西部ガス検針員がコミュニケーションを学ぶ
2017/10/10

福岡大学は、西部ガス・カスタマーサービスと協働し、ガス検針員が高齢者の見守り役を果たせるよう、検針員向けの研修を定期的に行っています。去る8月30日に開催された第8回コミュニケーション研修会では、お茶の水女子大学名誉教授の波平恵美子氏が「家族とは」と題して講演、続いて福岡医健専門学校副校長の焼山和憲氏を講師に、演習形式でコミュニケーション技法を学びました。参加したのはガス検針員のほか、ガス検針員を統括する同社の社員、さらに地域の民生委員です。

西部ガス・カスタマーサービス㈱社長の小車展生(おぐるま のぶお)氏はこの取り組みの意義について、「電気では使用量の計測がスマートメーターに置き換わりつつありますが、ガスはまだ月1回、検針員がお客さま宅を訪問し計測を実施しており、人と人とのつながりがあります。検針員が高齢世帯、一人暮らし世帯の見守り役になることで、地域に社会貢献でき、検針員自身の成長にもつながります」と説明します。 昨年4月に、制服の色をピンクにし、検針員であることが一目で分かるようになりしました。今年の2月から西部ガスのCMに検針員が起用され、ピンクの制服を着た検針員が幅広く認知されはじめています。 また、研修で学んだことを活かすため検針全員に名刺を持たせ、お客さま・地域のみなさまに渡せるようにし、良いコミュニケーションがとれるきっかけ作りにも取り組んでいます。

この日の講師を務めた焼山氏によると、コミュニケーションは「うなずき」「繰り返し」「確認」の3段階から成ります。この3段階で、相手は「自分の話をきちんと聞いてくれているな」と感じ、コミュニケーションが前に進むのです。もちろん、言葉によるコミュニケーションだけでなく、言葉以外のコミュニケーション(互いの位置、身振り、表情など)も重要です。演習は、グループに分かれて役割を決め、「話し手」役が「聞き手」役に与えられたテーマに沿った話をし、その様子を「観察者」がチェックするという手順で進められました。ふだん何気なく交わしている会話でも、改めてフィードバックを受けることで、自分のコミュニケーションを振り返るきっかけになったようです。

研修に参加した検針員の梅谷恭子氏は「高齢者への声かけを業務として意識したことはありませんでしたが、今日のような研修を受けたり、地域の高齢者サロンを見学したりすることで、高齢者への理解が深まり、今は自分から声をかけることができるようになりました。私たちもいずれ高齢になり、見守られる側になるのですから、自然な形で見守りができればよいと思っています」と話す。民生委員の谷村幸子氏は「検針員を含めて様々な立場の人が高齢者を見守ることができれば、高齢者が安心して住み慣れた地域で生活することができます。ただ、個人のプライバシーにかかわることなので、研修を通じて、責任を持ってコミュニケーションがとれるようになってほしいですね」と期待しています。

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