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Team2   学校適応支援・活力ある人間形成の研究チーム

No.2  小学校の体育授業をスポーツ科学部生が支援

リーダー:乾眞寛(スポーツ科学部教授)

頭と身体の両方を鍛えるコーディネーショントレーニング
2018/02/16
泉原嘉郎(スポーツ科学部助教、福岡市体力向上推進委員会・アドバイザー)

 コーディネーショントレーニングとは、体内・体外の情報や刺激を把握、分析した上で、瞬時に行動に反映させる力を鍛えるトレーニング法です。もともとは旧東ドイツで、オリンピック選手の能力を高めるために開発されました。コーディネーショントレーニングにより、素早い反応や的確な判断ができるようになるといわれています。

 私は学生時代から、サッカー選手のトレーニング方法に関心を持っていました。イタリアのサッカー関係者から、旧東ドイツのライプチヒ大学が研究の中心であることを教えられ、すぐにライプチヒ大学を訪問、そこで出会ったのがコーディネーショントレーニングでした。ライプチヒ大学には、コーディネーショントレーニングに関する膨大な研究の蓄積があり、2002年にドイツに留学して以降、実践と研究を積み重ねてきました。

 コーディネーショントレーニングでは、運動神経を7つの要素に分けて考えます。周辺の位置関係を適確に把握し、体の動きや姿勢を方向づける「定位」、五感で察知した情報に迅速・適確に反応し素早く動く「反応」、筋肉の力の入れ具合を調節して、正確かつスムーズに体を動かす「分化」、全身のバランスをとりながらイメージ通りに姿勢や動きを維持する「バランス」、思い通りの速さとタイミングでスムーズな動きを実現させる「リズム化」、複数の動作を連続してスムーズに行い、全身の動きを上手にコーディネートする「連結・結合」、予測力を駆使して状況を先取りしてその時々で最適な動きを作り出す「変換」の7つです。「馬とびをしながら帽子を投げ上げ、キャッチする」といった、動作と判断の両方が必要になる運動を行いながら、これら7つを鍛えていきます。

 現在、福岡市の小中学校を対象に、コーディネーショントレーニングの効果を調べる研究を行っています。まず小中学校の教員にコーディネーショントレーニングに関する冊子を配布して関心を持っていただき、さらに教員向けの研修会も多数、実施しました。体育の授業にコーディネーショントレーニングを取り入れた学級と、取り入れなかった学級とでは、体力テストの結果に差が出ることが分かってきています。福岡市、さらには全国の子どもの体力が向上し、元気になるために、今後さらにコーディネーショントレーニングを普及させていきたいと考えています。

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