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国際シンポジウムを開催しました
2019/01/05

12月13日(木)~14日(金)の2日間にわたって、第1回国際シンポジウム「ライフタイムにおける活力形成による健康な時間の創造『福奏プロジェクト』」を開催しました。学内・学外の多くの方が参加され、熱心なディスカッションが繰り広げられました。

1日目は、山口政俊学長の挨拶、ご来賓として在福岡米国領事館政治・経済担当領事のダニエル・ラコブ氏、および福岡市長の髙島宗一郎氏(代読・福岡市城南区長の梶原信一氏)からのご挨拶の後、ハーバード大学公衆衛生学のアイ・ミーン・リー主任教授、アジア大洋州小児学会会長でインドネシア大学小児科のアマン・ブルガン教授が基調講演を行いました。

アイ・ミーン・リー教授は、世界中で心臓病、糖尿病、がんなどの非感染性疾患が問題になっており、その6~10%が「体を動かさないこと」が原因であるという自らの研究(Lee IM, et al. Lancet. 2012; 380: 219-29.)を紹介しました。対策として、米国のガイドラインでは、成人は中~強度の有酸素運動を週に最低150分、それに加えて筋力トレーニングを週2回行うことを推奨しています。同様に、日本のガイドライン(健康づくりのための身体活動基準2013)では、18~64歳に対し、歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分行うことを推奨する他、年齢を問わず、「今より10分多く歩く」ことを呼び掛けています。リー氏は「運動は、心臓病や糖尿病の予防、ひいては死亡率減少に有益であることが研究で明らかになっています」と、運動の重要性を強調しました。

アマン・ブルガン教授は、アジアにおける子どもの健康について現状を報告しました。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち、子どもの健康に関連が深い目標は「2飢餓をゼロに」「3すべての人に健康と福祉を」「5ジェンダー平等を実現しよう」「6安全な水とトイレを世界中に」であり、アジア各国では特に、新生児および5歳以下の子どもの死亡を減らすことが課題だと指摘しました。そして、こうした健康上の課題の背景には、家庭環境や教育へのアクセス、さらには暴力や薬物乱用といった様々な社会的要因が複雑に絡み合っていると解説しました。アジア大洋州小児科学会では、2018~2021年の3か年計画として、栄養不良対策、母乳育児の推進、結核対策、予防接種の推進などに集中的に取り組んでいるとのことです。アジア各国で、子どもの健康に関する正確なデータを収集し、共有することが重要であると呼びかけました。

パネルディスカッションでは、毎日新聞西部本社編集局長の山本修司氏の司会で、アイ・ミーン・リー教授、アマン・プルガン教授、福岡市城南区保健福祉センター所長の執行睦実氏、本学の檜垣靖樹教授、廣瀬紳一教授が討論しました。日常生活において、楽しみながら健康的な食事や運動を習慣づけていくことの大切さが改めて確認されました。最後に、福奏プロジェクト研究統括責任者である檜垣教授が「福奏プロジェクトでは、出生前から老年期に至るまで、それぞれのライフステージにおける課題を、オール福大で取り組んでいます。多くの先生方の研究を次の世代の価値につなげていき、健康寿命の延伸に寄与したい」と力強く締めくくりました。

2日目は、セッション1「新たな地域高齢者に向けた社会貢献の挑戦」とセッション2「スロージョギング®による安全かつ効果的な予防プログラムに関する研究」を行いました。最後のセッションとして、正興ITソリューション(株)代表取締役社長の有江勝利氏と研究統括責任者である檜垣教授が、2日間のシンポジウムを総括するスピーチを行いました。

星乃治彦研究担当副学長の閉会挨拶で、2日間にわたる国際シンポジウムを締めくくりました。

2日間で延べ320名の方々にご参加いただきました。ご参加並びにご協力いただきました皆様に御礼申し上げます。誠にありがとうございました。