2011年度に設立された本研究所は福岡都市圏を中心に、地域活性化・男女共同参画社会の実現・地域防災力の向上・地域医療連携の構築等に寄与する基礎研究および地域実践活動を以下の4つの観点から行います。
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先端分子医学研究所(FCAM)は2008年度文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」として設置選定を受け設置された先端分子医学研究センターを発展させた基盤研究機関です。FCAMの設立趣旨は、「癌研究と基礎研究の推進」、「生命科学研究者を育成する」ことです。特に、「癌の診断・治療法の開発」が主たる研究課題であり、難治性癌に効果を有する新規化合物の開発、悪性中皮腫をはじめとする難治性癌の診断法の開発、造血幹細胞・白血病幹細胞を対象とした研究を推進させています。また、「独創的な基礎研究」としては転写制御分子ZFATの機能解析を展開させることにより、種々の細胞生命プログラムの解明を行っています。これらの研究活動を通じて、福岡大学における生命科学研究拠点となることを目指しています。
てんかんは頭痛に次いで多い神経疾患ですが、その遺伝子レベルでの分子病態は不明です。本研究所は、斬新な取り組みでこの分子病態に挑んでいる世界的に見ても数少ない、てんかんの分子病態を専門に研究する機関です。 てんかんは突然意識が薄れたり、ひきつけを起こしたりする疾患の総称です。日本では100人に1人程度の患者さんがいるほど多い病気です。ところが、てんかんは単一の病気でないため、遺伝子レベルの病態解明、すなわち分子病態の解明が遅れています。国内外から研究者が集まり、最新の遺伝子解析装置や手法を駆使して、人間と同じ遺伝子異常を有する動物を作り出したり、患者さんの皮膚細胞から神経細胞を作り出したりして、てんかんの分子病態を明らかにしています。さらにその結果から副作用の少ない革新的な治療薬の開発を目指しています。 2013年には、本研究所の研究グループが、他大学の研究グループと共同で、てんかんのiPS細胞の作成を世界に先駆けて成功させました。
2008年度、文部科学省の私立大学戦略的研究基盤形成支援事業として設置選定を受けて設立されました。本研究所の設置趣旨は、身体活動の健康科学に関する研究を遂行し、科学的根拠に基づく予防から治療までの処方を構築することおよび健康科学の研究を推進するための中核として、内外の研究者の共同利用に供することです。本学スポーツ科学部、薬学部、医学部ならびに大学病院の研究者が中心となり、国内外の研究機関と連携し、「身体活動の健康科学」に関する総合的研究を推進する研究拠点を形成し、特に、生活習慣病の予防・治療、介護予防、抗加齢に効果的な運動プログラムの開発と運動習慣形成を支援するシステムの構築を目指しています。
膵島は膵臓内に存在し、生体内で唯一の血糖降下ホルモン、インスリンを産生する細胞を主構成成分とする細胞集合体(塊)で、生命活動に必須の糖代謝に不可欠な役割を担っています。そして、このインスリン産生細胞の機能不全により糖尿病が発症します。本研究所では独自の細胞移植、ならびに分子生物学的手法を用い、マウスならびにヒト膵島について、インスリン産生細胞の障害、再生、起源、分化ならびに創生に関する基盤的研究を行い、その成果を基に糖尿病の根治的治療法の開発を目指します。
福岡大学病院における年間1,200例を超える心臓・血管の造影術、300例を超える血管形成術、不整脈のアブレーション治療、冠動脈バイパス術、弁置換・形成術、肺血管形成術等が安全・安心に行われてきた実績に基づき、心血管病の基礎・臨床を包括する研究所として2011年に設置されました。動脈硬化症、虚血性心臓病、心不全、不整脈、肺高血圧症等の先進的治療技術の導入や治療薬の開発を目標にしています。難治性心不全患者のための新規デバイス、動脈硬化の分子イメージングや治療薬の開発、高度な臨床研究の実施、大血管リハビリテーションの普及など、多岐にわたるプログラムを推進しています。
再生医学はiPS(induced pluripotent stem)細胞の誘導やクローン動物など革新的な技術開発をはじめ、飛躍的な進歩を遂げている医療分野のひとつですが、その発展の背景には多くの専門臨床・研究分野の協力・関与・統合が必須でありました。また再生医療はその施行される大部分が、細胞治療として提供されていますが、常に様々な倫理的問題の解決が問われているのが現状です。再生医学研究所では学内で生命倫理問題の統括(人文学部)をはじめ、細胞工学分野の専門研究者(理学部・薬学部)の連携を得て、以下の4つの研究チーム(医学部)より編成されています。 (1)幹細胞選別及び評価チーム、(2)神経再生チーム、(3)血管リンパ管再生チーム、(4)内分泌細胞再生チーム さらに各チームはチームリーダーのもと萌芽研究から臨床実施や新規臨床試験申請を含むテーマを推進します。
本研究所は、中毒学に関する基礎的、臨床的研究を行い、薬毒物の新規分析法の開発、中毒発症機序の解明等の研究を行うとともに、薬物を用いた犯罪や薬物乱用の防止に資することを目的としています。 臨床的研究では、救急医療の現場からの、薬物による自殺・乱用が疑われる患者試料(血液、尿等)を分析するとともに、患者背景を研究することで、薬物による自殺・乱用の対策に取り組みます。併せて、薬毒物分析が必要とされる救急患者の分析の支援にも取り組みます。基礎的研究として、中毒発症に関わる遺伝的背景の解明・生物学的マーカー探索を行います。近年、様々な薬物を使用した犯罪や、危険ドラッグ等の新たな薬物も広がっています。このような薬物を把握するために、薬物分析法の改良、新たな分析法の開発に取り組みます。さらに、アルコールに代わる飲酒マーカーの探索に関する研究、毛髪中の薬物分析法の開発を行い、飲酒運転の抑止、過去の薬物使用の確認に寄与することを目指します。
「Precision Medicine」は精密医療とも訳され、個人のゲノム解析による遺伝子情報を治療や予防に取り入れる新しい治療で、がん治療においても様々な取り組みが進行しています。 しかし、現状では確立された方法は存在しません。それを困難にしている要因として、生物学的プロセスに関与する因子はそれぞれが依存関係・協調関係にあり、互いに調整を受け、時間経過とともに推移していくことが挙げられます。 私たちは、その依存関係・協調関係や時間経過を念頭に置いて、がんに対する臨床試験に取り組んでまいりました。本研究所では、リキッドバイオプシーを行い、血液中の循環細胞遊離DNAから得られるがん細胞の遺伝子情報を経時的に調べることによって、がんの早期発見や新しいがん治療法へと発展させることを目標にしています。
大質量星がその進化の最終段階に迎える超新星、および爆発的コンパクト天体形成(中性子星・ブラックホール)がどのような物理的な仕組み・メカニズムで起こっているのか、50年以上におよぶ精力的な研究にも関わらず、宇宙物理学における大きな謎として残されています。 この謎を解明するために欠かせないのは、重力波・ニュートリノを含めたマルチメッセンジャー天文学、スーパーコンピューターを駆使した大規模数値シミュレーションです。本研究所では、大質量星の多次元進化から、爆発のダイナミクス・コンパクト天体形成に至るまでの物理過程について、国際共同研究・次世代観測による検証を視野に入れながら、理論的に解明することを目指しています。
2000年に文部科学省の学術フロンティア推進事業の一つとして設立。現在、2つのプロジェクトが進行中です。1つは、上海・同済大学などの海外有力大学と連携し、アジアでさまざまな消費者行動調査を展開する「都心商業システムの国際比較研究」。もう1つは、消費者行動解析で得られた知見や行動ルールをもとに、楽しいまち歩きを提案するナビゲーションの開発を目指す「知的パーソナルナビゲーションシステムの開発と展開」です。研究所では、研究成果をまちづくりへの提言につなげ、より一層の地域への貢献を目指しています。
昨今、安全・安心が一つの社会的キーワードとなっている一方で、私たちの生活の中にはさまざまな「危険」が潜んでおり、これを回避、軽減する技術開発が喫緊の課題となっています。本研究所では特に、ひとのミスなどによって引き起こされる交通事故や産業事故の防止あるいは被害軽減をテーマに掲げ、例えば、自動車用エアバッグのさらなる安全化・高度化を目指したデバイス開発(重点化課題)や産業界で多発する爆発事故などの再発防止のための研究を実施しています。また、本研究所には、産学官それぞれに所属する研究者や医学・工学を専門とする研究者が参画しており、さまざまなバックグラウンドを持つ研究者が連携しながら、「安全」という命題に取り組んでいます。
「材料技術」は、工業製品の設計・生産のみならず、安心で安全な社会を支える基礎技術であり、幅広い研究対象を持っています。本研究所は、材料技術に関連する研究分野を対象に「学際的・国際的」研究を行うプラットフォームを構築して新産業を創出することを目的としています。当面は、材料強度と医工連携の研究を中心に行いながら組織の基盤固めを行いますが、将来的には、工学分野に研究対象を限定せず、文系も含む新しい学問領域を創出することを目指します。さらに、本学の研究者・学生だけでなく、国内研究者、欧米、アジアからの海外研究者・留学生が集結したハブ研究所とでもいうべき研究拠点を構築して、その中で大学の実質的な国際化と国際感覚に優れたしなやかで力強い学生の育成に貢献したいと考えています。
1997年に文部科学省の学術フロンティア推進事業および北九州市エコタウン事業の支援を受け廃棄物の無害化やリサイクルによる減量化、資源化の研究を行う研究所として北九州市エコタウン内の実証研究エリア内に設置されました。多くの共同研究プロジェクトを通じて、実用化技術の創出に努めてきました。現在はその研究成果を生かし、無害化技術や資源化技術の企業への技術移転とともに国内外の企業や自治体との新たな産学官連携研究を推進しています。特に我が国随一ともいえる廃棄物大型実証施設やその研究成果をベースに自治体や企業を対象とした研究受託やコンサルティングサービスを推進し、総合的な環境研究所への展開を目指しています。
携帯電話に代表されるように家電製品は小さくなり、性能は上がっています。家電製品の中身を開けてみると、半導体などの電子部品が基板の上に組立てられています。3次元に電子部品を組み立て、高密度で高性能な機器の開発を目指して、2011年4月に本研究所が開設されました。場所は、福岡県糸島市に開設された「三次元半導体研究センター」内にあります。先端半導体を3次元構造に組み立てるために必要な要素技術を開発し、設計から試作、解析、試験までの一連の工程を行うことができます。また、設計手法や信頼性試験方法などに関する標準化を行うことも目標としています。本学の研究員、大学院生だけでなく他大学、企業、福岡県産業・科学技術振興財団も参画した産学官が連携して研究開発を行う研究所です。
高齢化社会の到来とともに認知症を呈するアルツハイマー病をはじめとしてさまざまな老年期疾患が急増してきています。本研究所では、まず疾患研究に予防薬学的知識を集結して疾患にならない体づくりのための研究を行います。同時に本疾患群がどのようにして発症するかを最先端の分子病態学レベルまで深く追究し、発症を最低限で食い止める新しい治療法、治療薬の開発を行います。これらの研究は大学病院の臨床医の研究と常に連携して学際的に推進します。具体的には、これらの目的を達成するために、食の領域で有益な物質を見いだし(創食)、新しい治療ターゲットを探索(創薬)し、産学官連携研究機関として本学から新しい治療旋風を全国に先駆けて発信することを目的としています。
現代社会において、多くの分野で、高度な機能を有する複合素材が望まれています。そこで、次世代の技術として期待されている複合素材技術の実用化の実績・経験を活かし、社会ニーズあった複合素材の総合的開発を推進するために、2012年4月本研究所は開設されました。本研究所では、この世界的に注目されている機能性素材を、環境への負荷を減らした技術で開発しています。この研究は、汎用性が高く、利用範囲が広いことから、産業界との研究連携のテーマとして優れており、社会ニーズに対応した「環境低負荷製造技術」をいち早く標準化技術として開発、応用し、共通の産業技術を創出することでの社会貢献を目指しています。
これまでの都市開発に伴って、正常な水循環は失われ、生態系にも非常に大きなダメージが加えられてきました。この影響は、様々な事象として顕在化しており、私たちの生活に直接影響を及ぼし始めています。本研究所では、健全な水循環を回復させ、失われた生態系を再生していく技術を確立することを目的として、2012年4月に開設されました。主な研究目標としては、①都市域において急速に失われてきた水循環を再生させる技術開発および仕組みづくり、②失われた生態系を再生する技術を確立するために様々な水域における現象観測および研究開発の実施を掲げ、行政機関や民間企業と共同での研究開発を推進しています。
アジア地域の経済発展は、人為的な大気環境変動を引き起こし、社会問題化しています。本研究所は、アジア大陸からの越境物質と日本における人為的な排出物質の混合が始まる福岡において、大気組成変動の観測、医学的調査、観測手段の開発を組織的に行い、大気組成変動とその健康影響の実態とプロセスを解明することを目的として設置されました。福岡大学は、最先端の研究を進めている他の研究機関等と協力して、総合的な大気環境観測を継続的に行ってきました。その観測を発展させるとともに、医学的な研究と融合させることで、福岡とそこに流入する大気の源流であるアジア地域の大気を「診」断し、健全なる地球環境の保全と社会の健康の増進に寄与することを目指しています。
自然界では、例えばなぜヤモリが吸盤もなく垂直の壁をなぜ登れるのかなど、人知が及ばない機能が実現されています。またその機能は人工的には実現が困難なマイクロレベルでの構造から出現しているものが多いのが特徴です。本機能・構造マテリアル研究所ではこのような機能発現メカニズムを基礎的に解明するとともに、最新の高分子重合技術を応用することでマイクロレベルの構造化が可能な自己組織化能力を持つ新たな機能・構造材料を創製することを目的としています。本研究所では複数の大学の教員だけでなく、多くの企業研究者が構成員として加わっており、社会的にニーズの高い機能を常に研究テーマとして捉えるとともに、工業的に実現可能な製造プロセスに関するアイディアも豊富に保有していることが特徴です。